ICT活用教育実践例

人間社会学域 経済学類

この記事は、2013年にインタビューしたものです。

経済学類『特別研究、卒業研究論文のオンライン投稿』(必修)

  • 特別研究(3年生)、卒業研究(4年生)の研究論文のオンライン提出

今回の取材にご協力いただいた先生をご紹介します。

■お名前: 佐藤 秀樹 先生
■所属・職名: 経済学類 准教授
■年度: 2010年度~

Q1. この取り組みの対象学生は?

特別研究が3年生、卒業研究は4年生が対象です。

Q2. この取り組みの開始年度は?

2010年度に3年生の特別研究を開始しました。2011年度の卒業研究(4年生)は2012年2月に実施予定です。

Q3. この取り組みの特徴や内容について具体的にお聞かせください。

経済学類では指導教員一人当たり8人程度の学生をゼミナール形式(以下、ゼミ)で担当しています。これまでは、特別研究・卒業研究ともにゼミ担当教員以外の指導を受けることはあまりなく、2009年度までは、特別研究・卒業研究にあたる成果物は、ゼミ内で指導教員に印刷した論文を提出する方式でした。
学域・学類制への移行*に伴うカリキュラム改編により、経済学類の3年ないしは4年終了時のゼミの履修成果を他学類と同様に単位化し、ゼミ担当教員以外が関与する機会を設けることとしました。具体的には、2010年からは特別研究・卒業研究の完成版を指定された期間内に学習管理システムの特別研究コース、卒業研究コースに電子ファイル版の形でアップロードすることが原則義務付けられました。つまり、経済学類の公式提出物として扱い、単位認定に関わります。
指導教員によっては、電子ファイルの提出と並行して、印刷した論文を提出させる場合もありますが、印刷した論文のみの提出では単位は認定されません。
各コースは担当教員以外の同学類教員が閲覧可能であり、論文を執筆した学生に対してコメントすることができますし、学生は提出期間内であれば修正することが可能です。
また、単位認定された論文はアーカイブに収められ、同学類学生も閲覧できるようになっています。

『特別研究』コースの表示イメージ

Q4. ICT教育活用の効果はいかがですか?

2010年度の特別研究(3年生)には教員38名を登録しました。研究がこのようにオープンになることで、教員・学生共にプレッシャーを感じますが、お互いに研究内容をより充実させようとする意識が顕著に高まったと感じています。

Q5. ICT教育活用導入にあたり、どのような工夫をされましたか?

工夫した点は大きく分けて3点です。

a. 学務係と教務委員会でかなりの時間を割いて、システムの設定や調整を要しています。コース作成についてはFD・ICT教育推進室の協力が欠かせません。

b. オンライン提出の電子ファイル版を公式提出物としており、2011年度の締め切りは2012年2月1日17時厳守です。そのため、システムのトラブルで提出できないことがあってはならないので、システムの安全保障、メンテナンスの日程調整などは配慮を要望します。

c. 運用にあたっては学生だけでなく教員の理解が必要であり、学務係が教員用・学生用のマニュアルを作成し、教員にはメール連絡や学類会議での説明を複数回行っています。教員から学生へのゼミ内での伝達が鍵であると考えます。しかし、教員側にシステムの理解に個人差があり、教員から学生に充分伝えるのが難しいこともあります。

Q6. 今後のご計画をお聞かせください。

今後の計画は2点あります。

a. 今年度、初めて「卒業研究(4年生)」を実施するので、その結果を見て取組みについて検証したいと思います。

b. もう1点はアーカイブの公開です。これにより、単位認定を受けた論文は経済学類教員及び経済学類学生が閲覧できるようになります。

――お忙しい中、ご協力いただきありがとうございました。